金曜日のプリンセスから学ぶ店舗展開|理念と利益を両立する7つの視点

いいお店をつくりたい
働く人の待遇も良くしたい
お客さんには無理なく楽しんでほしい
その考え方に賛成することと、自分がお金を出して店舗を経営することは別です
令和の虎Secondで公開された、MURACOさんによる「金曜日のプリンセス」の全国展開の提案
この回は、その違いがかなりはっきり出ています
前半は事業構想と収支の議論
後半は出演者が実際にお店へ行き、接客や料理、会計を体験する流れです
理念には共感できる
お客さんとしても楽しめる
では、別のオーナーが別の物件で経営しても利益が残るのか
店舗を増やすときに見るべきなのは、ここなんですよね
店舗経営者倶楽部の主宰・繁友健志として、動画の内容をもとに7つの視点で整理します
夜の業態に限らず、飲食店やサロンの出店にも持ち帰れる話です
出典は令和の虎Second「『最近のキャバクラは楽しくない』健全なコンカフェ『金曜日のプリンセス』で夜の社交場を取り戻したい【MURACO】[165人目]FC版令和の虎」(2026年10月9日公開/64分20秒)です
店舗の収支や構想は動画収録時の説明で、現在の業績を示すものではありません
以下の「店舗経営への持ち帰り」は私の考察であり、出演者全員の共通見解や、加盟・投資の推奨ではありません
1 「健全なお店」を、客が分かる約束にする
MURACOさんが掲げたのは、夜の社交場を取り戻したいという構想でした
高額な利用に偏らず楽しめること、働く人の待遇、ルールを守る運営などが話題になります
一方、議論の序盤では、既存の業態と何が違うのかが繰り返し問われました
「健全」という言葉だけでは、相手が思い浮かべるお店がそろわなかったわけです
話が具体的になるのは、利用予算や接客の説明に進んでから
どんな人が、どのくらいの予算で、何を楽しめるのかが見えてきます
これは普通の店舗でも同じです
「安心して通えるサロン」と言われても、それだけでは予約する理由にならない
料金を先に説明するのか
追加注文を断っても態度が変わらないのか
初めての人に利用の流れを案内するのか
理念は、その店で実際に起きる行動にまで落とす必要があります
立派な言葉を増やすより、お客さんが困る場面を一つずつなくす方が伝わるんです
2 家賃を下げた試算で、売上だけ据え置かない
前半で説明された旗艦店の数字は強烈です
- 家賃は月200万円
- 内装には約1億2000万円
- 収録時点では毎月200万円の赤字
いずれも動画内で示された数字です
内装費の資金調達方法や償却の内訳まで確認できるものではなく、内装にかけた金額がそのまま毎月の赤字の原因だと断定することもできません
MURACOさんからは、昼間の時間帯を別の業態で活用し、家賃負担を抑える構想も語られました
ただし、動画内では今後の話です
実施済みの改善実績とは分けて読む必要があります
そして出演者から出たのが、別の場所で家賃や内装費を下げれば、売上も下がるのではないかという問いです
店舗不動産の話として、ここは外せません
家賃が高い物件から安い物件へ移った試算なのに、売上だけ元のお店と同じになっている
それでは物件を比較したことにならないんです
通行する人も、来店の目的も、採れるスタッフも変わります
安くなった家賃以上に売上が落ちることもある
順番としては、その物件で見込める客数と客単価から売上を組み直す
そのうえで家賃、人件費、その他の支出を引く
「家賃が安いからいける」で止めないことです
3 旗艦店の役割と、展開店舗の役割を分ける
豪華な旗艦店には、その店単体の利益以外の役割があるという話も出ます
ブランドを知ってもらう場所、採用の入口、働きたいと思ってもらう象徴です
出演者からも、美容業界の一等地の直営店を例に、採用面での役割を理解する発言がありました
だから、旗艦店が赤字なら全部ダメと片づける話でもありません
ただし、旗艦店と展開店舗を同じ数字で説明するのも違います
本部が知名度のために費用を負担する店なのか
その店だけでオーナーの生活と投資回収を支える店なのか
先に役割を分けないと、判断がずれます
店舗経営への持ち帰りは、旗艦店の効果を実数で追うことです
その店をきっかけに何人の応募が来たのか
別の店舗の採用や集客にもつながったのか
その効果を維持する費用を、誰が負担するのか
「広告塔です」で赤字の説明を終わらせない
広告塔として何を生んだかまで見る必要があります
動画の該当場面:38分40秒〜
4 モデル収支は、実績と分けて読む
動画では展開を想定した収支モデルも取り上げられます
4か月目から黒字、1年後には月200万円弱の利益を見込むという説明です
ここで混ぜてはいけないのが、旗艦店の現状と、新しい店舗の予測
この利益は、動画内で説明されたモデル上の見込みです
すでに複数店舗で達成した実績ではありません
出店する側が見たいのは、最終月の利益だけではないんですよ
そこに着くまでに、いくらお金が出ていくかです
内装と物件取得で資金を使い切ったあと、開業直後の赤字を払えなくなる
それでは、計画上の黒字月まで店が持ちません
私がこの動画から店舗経営の判断へ持ち帰るなら、次の3つを別々に置きます
| 分けて見るもの | 確認する中身 |
|---|---|
| 収録時点の実績 | 月ごとの売上と支出、利益の計算に含まれる費用 |
| 展開店舗の予測 | そのエリアの客数・客単価・人員で組み直した収支 |
| 手元資金の推移 | 初期投資、立ち上がりの赤字、返済や支払いを含む資金残高 |
これは動画に掲載された収支表の再掲ではなく、検討する側の整理です
「何か月で黒字か」と「何か月で投資を回収できるか」も別の話です
動画の該当場面:36分20秒〜
5 人脈による採用を、別の店でも使える仕組みにする
MURACOさんは、業界での知名度やつながり、採用支援、現場の教育を強みとして説明しました
後半の店舗訪問でも、出演者がスタッフの応募経路を聞き、そのネットワークの強さに反応する場面があります
これは確かに強みです
普通のオーナーが同じ物件を借り、同じ内装をつくっても、同じ人が集まるとは限りません
だからこそ、増やすときは、その強みをどう渡すかが問われます
創業者が直接声をかけるのか
求人の応募を本部で受け、各店へつなぐのか
現場の責任者を誰が育てるのか
退職が出たときも支援が続くのか
「採用をサポートします」だけでは、店長が翌月のシフトを組めるかまでは分からない
支援内容と担当、いつまでに何をするかを具体化しておきたいところです
接客や採用の細部は、その業態の現場から学ぶ領域です
私は、この回を見て、物件や内装だけで店を複製した気になってはいけないと感じました
動画の該当場面:15分13秒〜 / 17分26秒〜 / 57分47秒〜
6 理念への共感と、支援の判断は別にできる
番組の審査では、理念への共感と、収益性への慎重な見方が同時に出ました
伊藤慎之介さんは、収益面のリスクに触れ、まず成功事例をつくってから増やしていく趣旨を述べています
林尚弘さんの最終判断は、その場で話を聞くだけで終えず、実際に店舗へ行って確かめるというもの
動画もそこで終わらず、西田拳さんと司会の堀浩之さんによる店舗訪問へ続きます
ここは前半だけを見て結論を出さない方がいいところです
厳しい指摘があったから不成立、と単純にまとめる回でもありません
店舗経営への持ち帰りは、相手の理念を否定しなくても、数字の確認はできるということです
応援したい
それと、自分の資金を預けられるかは分けて考える
その方が、お互いに話を詰めやすいんです
7 後半の店舗訪問で見えた価値と、まだ別に検証すること
店舗訪問では、入店時の利用ルールや料金の説明、接客、料理、会計までが紹介されます
西田さんたちは体験や会計に好意的に反応し、終盤の西田さんの最終コメントも肯定的なものでした
最後には加盟説明会の案内も出ています
つまり、前半の収支の議論から、後半は実際の顧客体験を確かめるところまで進んだ回です
ただし、見る側も条件は押さえておきたい
訪問場面には、撮影のために席のオプションを特別にする説明があります
その体験を、すべての一般客が同じ条件で受けられると読み替えることはできません
「1万円」という言葉も、番組内で語られた利用イメージです
注文やオプションによって支払いは変わります
現在の料金や、誰でも必ず収まる総額として案内するものではありません
そして、訪問した人が楽しめたことと、別のオーナーの店で利益が残ることも、やはり別です
顧客体験の検証は進んだ
展開店舗の採算、教育の再現性、創業者が常駐しない運営は、さらに実績で見ていく
そこまで分けて読むと、この動画はかなり良い経営の教材になります
動画の該当場面:48分〜 / 51分7秒〜 / 59分45秒〜 / 62分53秒〜
お店を増やす前に、残る利益と再現できる部分を見る
この回で私が見たのは、理念を持つことと、収益性を確認することの両立です
どちらか片方を捨てる話ではありません
働く人を大切にしたいなら、その待遇を続けられる利益が要る
利用しやすい価格にしたいなら、その価格で回る家賃や人員の組み方が要る
店舗を増やしたいなら、自分が毎日いなくても同じサービスを続けられる形が要る
いいお店を見つけると、「これならいけそう」と思いたくなるんですよね
そこで一度、店の魅力と、経営の数字を別々に見る
前半の議論だけで切り捨てず、後半の楽しさだけでも決めない
自分が借りる物件、自分が採用する人、自分の手元資金で成立するか
そこまで確かめてから、次の店を考えることです
元動画を確認する
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