仕入れが安いだけでFCに加盟していい?|FC版令和の虎164人目から学ぶ7つの判断

仕入れが安くなる。
それは魅力です。
ただ、その話だけで加盟金を払う判断まで進んでいませんか。

安い商品を買えることと、その仕組みに参加して利益が残ることは別の話です。飲食店でも美容サロンでも、仕入れの見積書だけ見て決めると、送料や在庫や手間が後からついてきます。

今回取り上げるのは、YouTube「令和の虎Second」の『FC版令和の虎』164人目、石澤義博氏の回です。中国から直接仕入れたフレコンバッグやストレッチフィルムなどを販売し、資材の高騰に悩む地域企業へ広げたいという提案でした。

本編では、商品の価格だけでなく、加盟する理由、営業方法、収支資料、本部としての支援体制が問われます。後半には建設業界に詳しい経営者との追加の検討も収録されています。

ここでは、その議論を店舗オーナーの判断に置き換えます。登壇者の発言の整理と、自店で確認するための考え方を分けて読んでください。当該事業への加盟を勧める記事ではありません。

目次

動画で何が問われたのか

提案の軸は、直接仕入れによる価格と、消耗品を継続して買ってもらう事業です。既存事業で自ら使う資材のコストを下げ、さらに周囲の企業へ販売する構想も説明されました。

一方、審査側からは、安く買えるだけなら通常の取引や別の連携方法でもよいのではないか、加盟者が売るための手順はあるのか、本部と同じ成果を未経験者も出せるのか、という問いが出ています。

本編の判定は「作戦会議」。そこで終わりではなく、後半でも価格の競争力、従来の仕入れ先との関係、機械のアフター対応、営業の負担などが検討されます。最後は、仕組みをさらに検討しながら手伝ってみるという話に進みました。完成したFCモデルの収益性が保証された、という結論ではありません。

参考にしたいのは、賛成か反対かという結果以上に、何を確認してからお金を出すかという順番です。

1 安さは単価ではなく、届いて使えるまでで比べる

動画前半では、問い合わせがあっても少量注文では送料が障害になったという説明がありました。商品そのものに価格差があっても、遠方へ届ける費用を足すと、その差が小さくなるわけです。

店舗の仕入れでも同じです。

紙カップ、持ち帰り容器、タオル、洗剤。単価が安くても、最低注文量が多ければ保管場所が必要になります。使い切る前に仕様を変えたくなることもあります。

見積書を比べるときは、同じ用途・品質・数量・配送先をそろえたうえで、次の項目を一枚に並べてください。

比べる項目 確認すること
商品代 同じ規格と品質で比べているか
配送費 注文ごとの送料、追加料金、送料無料の条件
注文量 最低ロットと、実際に使い切る期間
保管 店内に置けるか、別の倉庫が必要か
不具合対応 交換の条件と、再配送にかかる時間
作業 発注、検品、運搬に増える手間

「安く買えた」で終わらず、「この店で使っていくら残るか」まで見る。ここを飛ばすと、安い在庫で店の裏がいっぱいになります。置き場所だけ立派になっても困るんですよ。

2 必要な商品と、仕入れ先を替える商品は違う

後半の議論では、商品が安いと感じても、今の業者から買い続ける人がいるという話が出ました。普段の発注方法、取引の関係、必要なときにすぐ買えること、買った後の対応まで含めて選んでいるからです。

ここは、売る側にも買う側にも関係します。

飲食店なら、食材の規格や品質が安定しているか。サロンなら、備品が欠品したときに代わりが届くか。機械なら、故障時の連絡先と修理の手順が分かるか。

仕入れ先を替える前に、価格差と一緒に、今の業者が引き受けてくれている仕事を書き出してください。急な注文への対応、商品選定の助言、小口配送などです。

替えることで減る費用と、自店で引き受ける仕事。その両方が見えれば、比較の精度が上がります。逆に販売する側なら、相手が切り替えをためらう理由を聞くところからです。「安いのに、なぜ買わない」で止まらず、今のやり方を替えても困らない提案にする必要があります。

3 自社で使う節約と、外へ売る利益を分ける

動画では、自社で資材を使う企業が参加するなら、仕入れの削減と販売利益の両方がある、という説明が出ています。

この二つは、別々に計算してください。

自社で使う分は、現在の購入費と新しい購入費との差です。外へ販売する分は、販売代金から仕入れ、配送、販売のための費用などを引いて考えます。自社で消費した商品を、外へ売った売上として数えることはできません。

加盟費用や月額費用などを払うなら、その負担も含めて比べます。

まず自店の仕入れがいくら減るか。
次に、新しい販売事業を誰が動かし、いくら残すか。

分けると、「販売が思ったほど進まなくても、自店の節約だけで参加する意味があるか」という問いにも答えられます。既存事業の原価改善と、新規事業の利益を一つに混ぜると、どちらがうまくいっているのか分からなくなります。

4 繰り返し買う商品でも、最初の顧客は作らないといけない

消耗品は、使えばなくなります。それだけで自社へ継続注文が入るわけではありません。

動画では、リピートする商品の魅力と、最初の販路開拓の難しさが何度も議論されました。商品を必要とする会社があることと、そこへ接点を作り、購入してもらうことは別の工程です。

店舗なら、リピートしやすいメニューを作ることと、初回来店を増やすことの違いに近いです。

誰に声をかけるのか。
誰が発注を決めるのか。
試してもらうには何が必要なのか。
次の注文をどう受けるのか。

この流れが見えないまま、「積み上がる事業」として売上計画を作らないことです。営業が得意な本部の実績を、営業経験のない加盟者へそのまま移せるとは限りません。

見たいのは成約した話だけでなく、そこへ至るまでの訪問、見積もり、サンプル提供、再連絡の仕事です。人の得意技を、自店でも動かせる手順にできているかを確かめます。

5 加盟金の前に、本部が何を引き受けるかを見る

本編の中心にあったのが、フランチャイズにする理由です。安い商品を供給する話だけでは、加盟者の営業や運営まで成立するかは分かりません。

これは、店舗型のFCを検討するときにも使える問いです。

本部は、商品、仕入れ、営業先の開拓、研修、販促、問い合わせ対応のうち、どこまで担当するのか。加盟者は何を自分でやるのか。口頭の説明と、契約や支援資料の内容を照合してください。

確認する支援 聞いておきたいこと
営業研修 対象顧客、提案方法、初回受注までの手順
開拓の支援 紹介だけか、営業先の獲得や同行まで行うのか
開始後の相談 窓口、対応範囲、追加費用の有無
供給と品質 欠品、仕様変更、不良品への対応
支援する人員 加盟者が増えても約束した支援を実施できるか

「困ったら相談できます」は入口です。その先で、誰が何をしてくれるのかまで確認する。紹介される業界名の一覧と、実際に受注できる営業の仕組みは同じではありません。

加盟する側の仕事も含めて理解してから、本部へ払う費用と比べる順番です。

6 利益の数字は、期間と引いた費用まで説明できるか

本編では、収支資料の数字が月単位なのか年単位なのかを問われ、説明がかみ合わない場面がありました。数字を作成した経緯より、投資する人に説明できるかが問題になります。

店舗の事業計画でも、売上、粗利益、営業利益、手元に残るお金を混ぜないことです。

売上があっても、商品代、家賃、人件費、配送費、本部へ払う費用などがかかります。在庫を先に買い、入金が後になるなら、利益とは別に資金が必要です。

提示された計画には、次の確認を入れてください。

  • 月の数字か、年の数字か
  • 何件の顧客が、どの頻度で、何を買う前提か
  • 「利益」からすでに引いた費用と、まだ引いていない費用は何か
  • オーナー自身が動く仕事と、必要な時間はどれくらいか
  • 受注が遅れた場合、運転資金がどれくらい必要か

難しい言葉を増やす必要はありません。誰が読んでも同じ計算になる資料にする。説明が止まる項目があれば、契約へ進む前に計算の前提をそろえます。

登壇者が説明した売上・利益・加盟条件の金額は、自店でも再現できる実績として扱っていません。動画中の事業説明と、自店の収支計画は分けてください。

7 詳しい人へ見せるのは、決めてからではなく決める前

この動画は、本編の後に業界に詳しい経営者へ話を聞いたところまで見ると、判断の材料が増えます。仕入れ価格に加え、商品ごとの違い、既存の購買習慣、営業負担、機械のアフター対応へ議論が広がりました。

提案する本人には簡単でも、ほかの人には難しい工程があります。話を聞く相手によって、見落としていた条件が出てくるわけです。

店舗の出店でも、契約してから「この場所で大丈夫ですか」と相談すると、選べる手が減ります。設備を買ってから保守の条件を聞くのも、順番が逆です。

先に、見積書と運営の流れを見せてください。仕入れに詳しい人、同じ業態の店舗オーナー、営業を実際に担当した人。それぞれに、「この条件で自店が動くとしたら、何が抜けているか」と聞きます。

賛成してくれる人だけを集めると、確認にはなりません。違う条件で事業をやっている人の疑問も、契約前に拾っておくことです。

まずは、よく使う消耗品を一つだけ比べてみる

この記事を読んで、すぐ仕入れ先を全部替える必要はありません。

まず、普段買っている消耗品を一つ選んでください。現在の請求書を見て、使用量、送料、発注の頻度を書き出します。そのうえで、同じ品質と数量の見積もりを取り、保管や不具合対応まで並べて比べる。

FCや共同仕入れの仕組みへ参加するなら、さらに参加費用と自分の仕事を加えます。

分からない条件があれば、払う前に聞く。
自店の数字で比べてから決める。

安いという話を、利益が残る判断へ変えるのは、この一手間です。

店舗経営者倶楽部は、店舗経営を学び、実践し、経営者同士で情報交換をする場です。ほかの人の成功例をそのまま使うのではなく、自店との条件の違いを確かめながら、次に試すことを決めるために活用してください。

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元動画と、確認した場面

出典:YouTube「令和の虎Second」『「結構やらかしてんぞ!」フレコンなどの資材の高騰から地域企業を守りたい【石澤 義博】[164人目]FC版令和の虎』

※動画内の事業説明をもとに、店舗経営に置き換えた確認方法を整理しています。登壇者の取引実績や収益を独立に検証したものではありません。

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