店舗物件 選び方の前に決める経営マインド3つ

店舗物件 選び方の前に決める経営マインド3つ

「物件をいくつ見ても決め手がない」「開業して売上は立っているのに、手元にお金が残らない」。こんな状態で困っていませんか?店舗開業でつまずく人の多くは、経営者としての判断基準を決めないまま物件探しを始めています。この記事では、物件を探す前に決めておく3つの経営マインドと、それを物件の選び方に落とし込む手順がわかります。お伝えするのは、店舗情報サービス株式会社 代表の繁友健志です。宅地建物取引業者として、店舗賃貸借業務(店舗物件のみ・居住用は含まない)を1,000店舗以上、店舗不動産の実務を10年超手がけてきました。

目次

この記事のポイント

  • 自分の給料を最初に固定費として置くと、払える家賃の上限が物件探しの前に決まる
  • 自分が毎日店に立つ前提で物件を選ぶと、スタッフを採用できない立地をつかみやすくなる
  • 物件を見送った回数を成果として数えると、焦って即決する失敗を防げる
  • 「見送る条件」を内見の前に書き出しておくと、現場の雰囲気や申込の急かしに流されにくくなる
  • FC加盟を検討中の場合は、本部の収支モデルにオーナーの給料が含まれているかに注意する

現場で見えてきた実態|開業 成功を分けるのは物件探しの前

開業がうまくいくかどうかは、物件の良し悪しより前に、経営者として何を基準に選ぶかが決まっているかどうかで分かれます。店舗賃貸借1000店舗以上の経験から言うと、つまずく人は物件そのものより、物件を見る目線でつまずいているケースが目立ちます。

店長目線で物件を選ぶと採用で詰まる

現場で実際に見たケースを紹介します。とある飲食店オーナーは「自分が毎日厨房に立つから人件費はほぼかからない」と考え、駅から徒歩15分ほどの家賃が手ごろな物件を選びました。ところが開業から半年ほどで体調を崩します。慌ててアルバイトを募集しても応募はほとんど来ませんでした。同じ時給なら駅前の店を選ぶ人が多かったからです。最後は営業日を減らすしかありませんでした。家賃の安さは「自分が倒れない」という前提があって初めて成り立っていたわけです。

「残った分が自分の給料」という考え方の危うさ

もうひとつよく見るのが、売上から家賃・材料費・広告費を払って、残った分を自分の取り分と考えるパターンです。あるサロンのオーナーさんは、月商が計画どおりに推移していました。それでも手取りは月15万円前後にとどまり、会社員時代を大きく下回っていました(当社で関わった案件より)。帳簿の上では黒字でも、経営者の生活が回らなければ店は続きません。2年目に「何のために独立したのか分からない」とこぼしていたのが、今も印象に残っています。

具体的な対策と行動ステップ|店舗物件 選び方を変える3つの経営マインド

物件を探す前に決めておきたい経営マインドは、「自分の給料を先に引く」「自分がいない日を前提にする」「見送りを成果として数える」の3つです。店舗不動産の現場で繰り返し見てきた、店長目線と経営者目線の違いを表にまとめました。

判断の場面 店長目線 経営者目線
家賃の上限 売上予測から決める 自分の給料と固定費を引いた残りから決める
立地 自分が通いやすい・家賃が安い スタッフが通えて採用できる
内見の後 気に入ったらすぐ申し込む 判断基準に合わなければ見送る
条件交渉 大家さんに勝とうとする 長く付き合える条件を探る

自分の給料を先に引いて家賃の上限を決める

計算の順番を逆にします。まず自分と家族の生活に必要な手取り額を出し、役員報酬として固定費に入れます。次に人件費、原価、そのほかの固定費を引きます。最後に残った額が、払える家賃の上限です。売上予測から家賃を決めると、自分の給料はいつまでも「余ったらもらうもの」のままになります。

自分がいない日でも回る立地を選ぶ

一般的には「開業当初は経営者が現場に立ち続けるべき」と言われます。けれども実際には、自分が立つ前提だけで物件を選ぶと、休めない仕組みを自分で作ってしまいます。スタッフが通いやすいか、周りの同業がいくらの時給で求人を出しているか。ここまで物件の評価に含めてください。

見送った回数を成果として数える

倶楽部の会員さんから聞いた例です。内見した物件を3件続けて見送り、4件目で事前に決めた条件に合う物件に出会えました。家賃の上限がはっきりしていたので、交渉でも根拠を示して条件を伝えられたそうです。見送りは失敗ではなく、判断基準がきちんと働いている証拠です。

契約条件や賃料の考え方をもっと整理したい方は、店舗開業・店舗経営支援のよくある質問100選もあわせてご覧ください。

店舗経営者が今すぐできること|店舗経営 ノウハウを判断基準に変える

今すぐできるのは、物件情報を見る前に自分の判断基準を紙に書き出すことです。私が運営する店舗経営者倶楽部では、300名超の経営者会員と話をしてきました。その中でも、開業後に迷いが少ない人ほど、この準備を内見の前に済ませています。

今すぐできること

  • 自分と家族の生活に必要な手取り額を書き出し、役員報酬を決める
  • 払える家賃の上限を、給料と固定費を引いた残りから出す
  • 候補エリアの求人サイトで、同業の時給と募集の出し方を確かめる
  • 「この条件なら見送る」という基準を3つ書いて内見に持っていく
  • FC加盟を検討中なら、本部の収支モデルにオーナーの給料が入っているかを確かめる

やってはいけないこと

  • 内見当日の雰囲気だけで申込書を書く
  • 「自分が毎日立てば大丈夫」と考えて人件費をゼロで計算する
  • 申込を急かされて、事前に決めた家賃の上限を超える

判断基準は一度決めたら終わりではありません。物件を見るたびに書き足していくと、自分の事業に合う物件の姿が少しずつはっきりしてきます。それが開業後の迷いを減らします。

よくある質問

Q. 店舗経営で最初に直面する課題は何ですか?

A. 集客と採用が同時に課題になるケースを現場で多く見てきました。特に経営者自身が店に立つ前提で開業すると、採用の準備が後回しになりがちです。Googleビジネスプロフィールの整備、口コミ対策、SNSの準備に加えて、開業前から求人の見通しも立てておくことをお勧めします。

Q. 店舗物件を選ぶときに優先して確認すべきポイントは?

A. ターゲット客層の生活動線と、競合があるかどうかを現地で確かめることです。地図上のデータだけでは通行量の質は見えません。あわせて、スタッフが通いやすく採用しやすい立地かどうかも確認してください。経営者が店に立てない日でも回るかどうかが、長く続く店の分かれ目になります。

Q. 物件を探す前に決めておくべきことは何ですか?

A. 自分の生活に必要な手取り額と、そこから計算した家賃の上限です。売上予測から家賃を決めると、自分の給料が後回しになりやすくなります。あわせて「この条件なら見送る」という基準を3つほど書き出しておくと、内見の場の雰囲気や申込の急かしに流されにくくなります。

まとめ

店舗開業がうまくいくかどうかは、物件そのものより前に、経営者としての判断基準を持っているかどうかで分かれます。自分の給料を先に引く。自分がいない日でも回る立地を選ぶ。条件に合わない物件はためらわず見送る。この3つの経営マインドを物件探しの前に固めておけば、それが開業後も長く続く店の土台になります。まずは判断基準を紙に書き出すところから始めてみてください。

店舗経営者倶楽部では毎月全国6都市で交流会を開催しています。記事に書けない実務の続きは無料メールでお届けし、倶楽部の詳細はこちらでご案内しています。

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