どんぶり勘定から抜け出す|個人店オーナーが最低限おさえたい3つの数字と学び方
どんぶり勘定の正体は数字が苦手なことじゃない
比べる相手がいないことだ
個人店オーナーが最低限おさえる数字は固定費・粗利・損益分岐点の3つで足りる
そしてその3つは本で覚えるものではなく同じ立場のオーナーの数字と並べて初めて使える道具になる
この記事でわかること
- どんぶり勘定が何年たっても終わらない本当の理由
- 個人店オーナーが最低限おさえたい3つの数字と一例の計算
- 数字を知識で終わらせず実践に変える学び方
どんぶり勘定が終わらない本当の理由
数字が苦手なのではなく比べる相手がいない
会社員のころは隣の席に同僚がいた
自分の成績が良いのか悪いのか誰に言われずともわかった
個人店を開いた瞬間にそれが消える
隣の店の家賃比率も人件費率も粗利率も誰も教えてくれない
自分の数字が良いのか悪いのか判断できないから見るのをやめる
これがどんぶり勘定の正体で苦手意識は後からついてくる言い訳に過ぎない
相談相手が家族しかいないオーナーも多い
家族に数字の話をすると不安にさせるから黙る
黙るからさらに1人になる
もう一つは情報格差だ
チェーン店には本部が毎月数字を突きつけてくる
個人店には突きつけてくる相手がいない
だから売上があるのに通帳の残高が減っていく理由が最後までわからない
数字を見ないほうが今日は楽でその楽さが一番高くつく
孤独と情報格差の2つが重なった状態がどんぶり勘定であって性格の問題ではない
最低限おさえたい数字は3つだけ
固定費・粗利・損益分岐点
決算書を全部読める必要はない
個人店のオーナーが毎月見るべき数字は次の3つで足りる
- 固定費 家賃・人件費・リース・借入返済など客がゼロでも出ていく金額
- 粗利 売上から材料費や仕入れを引いた残り 売上に対する割合が粗利率
- 損益分岐点 固定費÷粗利率 ここを越えて初めて利益が出る
一例を出す
固定費が月60万円で粗利率が70%の店なら損益分岐点は約86万円
営業日が25日なら1日あたり約3万4千円
※業種・物件・相場により異なる一例で実際の数字は自店の固定費と粗利率で計算してください
ここまで落とすと数字は怖くなくなる
今日の売上が3万4千円を越えたか越えないか
見るのはその一点だけでいい
家賃は固定費の中で一番動かしにくい項目で決めた瞬間から毎月の損益分岐点を押し上げ続ける
だから私は物件を見るとき売上の予測より先に固定費の線を引く
難しい会計用語を覚える前にこの線を自分の店で引いた人からどんぶり勘定は終わる
「税理士に任せているから大丈夫」が一番危ない
試算表は過去の成績表で次の手は書いていない
税理士は税金のプロであって集客と利益を伸ばすプロではない
役割が違うだけで誰も悪くない
問題は試算表が届くのが早くても翌月以降だということ
その時点で赤字の月は終わっていて打つ手が遅い
先生に任せてますと言うオーナーほど自分の損益分岐点を即答できない
数字を見る役割だけは外注できない
税理士に任せるのは申告で毎日見るのは自分
この線引きができていない個人店は多い
税理士に聞くなら決算の話より先に自店の固定費と粗利率を一緒に確認してもらうほうが実になる
本で学んだ数字が現場で使えない理由
使えるのは同じ立場のオーナーの生の数字
会計の本を買って3章で挫折した人は多い
理由は自分の店に置き換えられないからで頭の良し悪しではない
効くのは同じ規模の個人店オーナーが話す生の数字だ
うちは家賃比率が何%で人件費を何%に抑えたら手元に残るようになった
この一言のほうが教科書100ページより自分の店に刺さる
私は店舗物件の賃貸借業務を1,000店舗以上やってきた
残る店と静かに閉まる店の差は立地や腕だけでは説明できない
共通していたのは数字を人と比べる習慣があったかどうかだと感じている
会員300名超の店舗経営者倶楽部で毎月オーナー同士が数字を出し合う場を見ていても同じで
自分の数字を口に出した人から経営が変わる
数字を出すと自分より先を行く人からも後から来た人からも学べる
後から来た人に説明するときに自分の理解の穴が見つかる
情報格差を埋めるのは教科書ではなく横のつながりだ
数字を実践に変える学び方
月1回ほかのオーナーに自分の数字を言う
学び方の順番はこれだけだ
- 固定費を全部書き出す 1時間で終わる
- 直近3か月の粗利率を出す
- 損益分岐点を1日単位に割る
- 月1回同じ立場のオーナーに自分の数字を口に出す
- 変えた一手と翌月の数字を照らし合わせる
4番が全部だと言っていい
1人で帳簿を眺めていても3か月で見なくなる
人に言うと来月までに何とかしようという締切が生まれる
相手は税理士や家族ではなく同じ立場で店を回しているオーナーがいい
利害がなく事情がわかる相手だから本音の数字が出る
恥ずかしいと思うかもしれないが数字を隠して得をする人は誰もいない
出した瞬間に同じ悩みを越えた先輩が具体策を持ってくる
勉強会で知識を増やすより自分の数字を出す場を一つ持つほうが早い
数字は縛りではなく攻めるための道具
数字がわかるとやめる判断と攻める判断が早くなる
これから開業する人に伝えたい
どんぶりのまま開業すると売上があるのに現金が減る理由がわからず不安だけが積み上がる
開業前なら物件を決める前に損益分岐点を1日単位で出しておく
その数字が無理筋なら契約前に引き返せる
開業してからわかる人が一番多くそこからの修正は何倍も重い
数字がわかると値上げ・営業日の見直し・採用・2店舗目の判断に根拠ができる
やめる判断も早くなる
損益分岐点を越えられない月が続くなら撤退や業態変更を考える材料になる
数字を見ないことは楽なようで一番苦しい
見た瞬間に不安が消えるわけではないが打つ手が見える
資産として残る店は数字が見えている店からしか生まれない
今日やることは1つ
固定費を紙に書き出す
今日は固定費を紙に書き出すだけでいい
紙1枚で足りるし会計ソフトを入れるのはその後でいい
明日粗利率を出し今週中に損益分岐点を1日単位にする
そして来月までに誰か1人のオーナーにその数字を言う
相手がいないなら探す
1人で数字を眺め続けるのが一番遠回りだ
どんぶり勘定は才能や性格の問題ではなく比べる相手を持ったかどうかの問題でしかない
店舗経営の「独学」を、今日で終わりにする。
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