「一年後ぐらいに出店しようかな」と言った瞬間、あなたの順番は一番後ろに落ちる 不動産屋が先に電話をくれる側の立ち方
一年後ぐらいに出店しようかなと思ってます
この一言で、不動産屋の中のあなたの順番は一番後ろに落ちます
私は大手チェーンの店舗開発の下請けのような仕事を十年以上やってきて、店舗賃貸借業務を1000店舗以上扱ってきた側の人間なので、業者が口に出さない方から書きます
不動産屋の売上は、契約が決まった瞬間にしか立たない
店舗物件を扱う不動産屋の報酬は仲介手数料で、これは契約が成立して初めて発生します
問い合わせへの返信も、図面の取り寄せも、鍵を借りに行く往復も、内見の立ち会いも、貸主への条件確認も、契約に至らなければ全部ゼロ円です
ガソリン代も出ません
だから「一年後ぐらいに出店しようかな」は、担当者の頭の中でこう翻訳されます
一年間タダで働いてください
正直に書くと、業者側は二度と来んなと思っています
感じ悪いですよね 感じ悪いんですけど、内側で毎日起きているのはこれです
いい物件が出たときに真っ先に電話が行くのは、今月申し込む可能性がある人です
一年後の人には、メールの一本も来ません
熱意でも運でも相性でもなく、相手の給料がいつ出るかという話です
悪いのはあなたじゃない、順番を知らないだけ
ここで落ち込まなくていいです
情報が回ってこない原因は、あなたの人柄でも資金力でもなく、この報酬構造を誰も表で説明しないことにあります
不動産屋の側も「早く決めてくれる人が好きです」とは言いません
言った瞬間に感じが悪いからです
だから借りる側はいつまでも、熱意を見せれば動いてくれると思ったまま何社も回ることになります
順番はこうです
相手の売上がいつ立つのかを先に知る
そのうえで、自分がその売上に近い人間に見えるように、渡す情報を組み替える
やることはこれだけで、回ってくる物件の質が変わります
手数料だけは触るな
手数料を半月分にしてよ、この物件だけタダにしてよ
これは絶対にやらない方がいいです
私は不動産の側の人間なので、ポジショントークかよと思われるところです
これはポジショントークではないです
理由は単純で、担当者が本気で動く理由を、借りる側が自分の手で消しているからです
削れるのは一回きりの手数料です
失うのは、次に出た物件を最初に見せてもらえる立場です
しかも手数料を値切る人は、貸主側にも面倒な借主として伝わります
取りに行く先は手数料ではないです
賃料、フリーレント、敷金、原状回復の範囲、契約期間
ここは遠慮なく全力で取りにいっていい
間に立つ人の取り分だけは触らない
内見は、その物件を借りるために行くんじゃない
私が教えているのは、物件を探しに行くのではなく不動産屋を探しに行くやり方です
自分でハイブリッド店舗物件探しと名前をつけています
8割は不動産屋に探させて、2割だけ自分で確認する
Googleマップを開いてエリアを絞る
ポータルサイトに出ている物件を口実にして、その物件を扱っている地場の不動産屋に会いに行く
目的はその部屋を借りることではなく、この人は決まる人だと担当者に思わせることです
だから外れ物件でいいです
行って、断って、理由まで言う
間口が足りなかった、坪数は良かったが排気が抜けない
理由まで言うと、相手の頭の中にあなたの条件が具体的な形で残ります
そこから、ポータルに載る前の物件が来るようになります
もっと言うと、毎回本当に見に行かなくてもいいです
嘘でもいいから、見た、この理由で外れました、と返す
担当者が見ているのは物件の合否ではなく、投げたら返ってくる人かどうかです
一番良くないのは、提案してもらったのに無視することです
返すのめんどくさいですよね わかります わかりますけど、切れるのはここです
見に行けない週でも、必ず一言返してください
見ました、ここは合わなかったです、で十分です
反応が速い人には次が来る
無視する人には二度と来ない
ないんじゃなくて、探す条件がおかしいだけ
物件がないと言う人がとても多いです
物件がないということは、まずないです
探しきれていないか、条件の作り方が間違っているかのどちらかです
条件は二つに割ってください
動かせないもの 広さ、間口、天井高、電気容量、給排水、排気、居抜きで残っている設備
動かせるもの 賃料、敷金、礼金、フリーレント、契約期間
多くの人はこれを混ぜたまま不動産屋に渡します
賃料の上限をきっちり切った瞬間に、そこを少し超えた優良物件は機械的に外れます
その差額は交渉で動く数字なのに、自分の手で候補から消しています
不動産屋に渡す条件は、動かせないものだけを固めて、動かせるものは幅で渡す
これだけで紹介の母数が変わります
競合がいないからラッキー、と言った瞬間に見限られる
ここは競合がいないから総取りできるんじゃないか
この発想は罠です
誰も出していないエリアは、誰も出さない理由があるエリアです
逆に、同じ客層を狙う大手がまとまって入っている場所は、店舗開発部が金と時間をかけて調べた答えが置いてある場所です
自分でゼロから市場調査をするより、その答えに乗る方が外しません
これを言えるかどうかで担当者の目が変わります
このエリアは同じ客層のチェーンがまとまって入っているので、この通り沿いで探しています
ここまで言える人は、業者から見ると決まる人です
なんとなく駅から近くて安いところ、と言う人とは、渡される物件が別になります
決まる人に見える材料を、先に渡す
貸主にあなたに貸したいと思わせる
これが交渉の前段です
条件の押し引きより先に、相手の感情を作ります
不動産屋に対しても同じで、渡すものは決まっています
事業概要の資料を作って、申込書と一緒に出す 何屋で、どんな客層で、どこで何店舗やっていて、資金をどう用意するか
希望条件を口頭で言わない 申込書に書いて出す 口頭のいくらならという話は記録に残らないので、交渉の材料になりません
決裁者が自分であること、申込が通れば即入金できることを最初に伝える
フリーレントを求めるなら、早期解約の違約金をこちらから先に提案する 相手が言い出す前提のリスクを自分から差し出すと、ややこしい借主ではないという見え方になります
管理費と共益費の減額は要望しない 貸主側で下げにくい項目なので、ここを突くと交渉全体の温度が落ちます
100パーセントこちらにだけ有利な形で通そうとしない その形は最後まで通りません
これは私が発明した特別なやり方ではないです
大手チェーンが当たり前にやっていることを、これから一店舗目、数店舗目という人でも回せる形に落としただけです
私はその下請け側で、この型が実際に通っていくのを十年以上見てきました
今週やること
出店時期の言い方を変える前に、決められる状態を先に作ってください
業種、想定単価、必要な坪数、出せる初期費用、決裁者が自分であること
ここが揃っていないうちは、何をどう言っても一年後の人に見えます
揃ったら、動くのは一回でいいです
内見三件、メール三人
一日出て、三件見て、担当者三人にメールを送る
それで地場の不動産屋との接点はできます
あとは提案が来たら必ず返す
物件が出てこないのは市場が悪いからではないです
相手の売上がいつ立つのかを知らないまま、相手の売上から一番遠い場所に立っているだけです
そこから動かない限り、来年の今ごろも同じポータルの同じ画面を開いて、まだ物件がないと言っています
一日で終わる話です
店舗経営の「独学」を、今日で終わりにする。
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