お店のオーナーがフランチャイズに加盟するのは、商売繁盛のためです。
個人経営のお店ではなしえないようなことがフランチャイ加盟でできると考えてのことでしょう。
確かにそのようにして成功しているオーナーも多いです。
ところが、期待に反して、フランチャイズ加盟で大失敗し、自己破産にまで至るオーナーもいます。
大変な事態ですが、自己破産となった場合は、どうなるのでしょうか。
今回は、この問題について深く考えてみます。
なぜフランチャイジーが自己破産するのか?
フランチャイジー(フランチャイズ加盟店)がなぜ自己破産という事態を迎えるのでしょうか。
本来はフラチャイズ加盟によって、本部の商標もノウハウも活用できるようになるので、商売が成功するはずです。
本部もフランチャイジー側のビジネスが順調に進むように指導やサポートをしてくれます。
実際にフランチャイズ加盟を募集している広告を見てみると、成功確率が高いと謳われているものです。
しかし、そのような理想の通り行くとは限りません。
フランチャイズ加盟にはリスクもあるのです。
具体的なリスクとしては、次のようなものがあります。
- 初期費用の借入額が大きくなりすぎて、返済の目処が立たなくなる
- ランニングコストがかさみ、営業努力だけではまかないきれなくなる
フランチャイジーの初期費用というと、加盟金・開業資金・運転資金・設備投資などがあります。
しかし、その初期費用を捻出するために金融機関から借り入れをしなければ行けなくなることもあります。
返済できる借り入れなら問題ありませんが、借り入れ額が大きくなりすぎると、返済の目処が立たなくなることもあるでしょう。
次にランニングコストがかさみすぎて、やりくりで追われることもあります。
フランチャイジーのランニングコストというと、本部に支払うロイヤリティ・仕入れコスト・店舗の賃料・人件費・光熱費・設備のリース料・カード会社の手数料などがあります。
初期費用とランニングコストが大きくなりすぎると、いくらフランチャイジーが努力しても、黒字にならず赤字続きという事態になることもあり得るでしょう。
そんな状態が続くと、最悪の場合、自己破産となることもあるのです。
フランチャイジーが自己破産するとどうなる?
自己破産など誰もしたくはありません。
フランチャイジーとて同じです。
しかし、もし実際にフランチャイジーが自己破産になったときはどうなるのでしょうか。
人間、最悪の事態も考えておかないといけませんし、すでに自己破産を迎えざるを得ないオーナーもいるでしょう。
そこで、フランチャイジーが自己破産になると、どうなるのかを見てみましょう。
フランチャイズ契約は解除される
自己破産したフランチャイジーオーナーと本部の契約は基本的に解除されます。
自己破産したフランチャイジーと契約を続けて、応援していくことはできないからです。
ただし、破産手続きが始まるまでに契約が終了しないときは、破産管財人に選択の権利があります。
契約を履行して営業を続けるか、契約を解除するかのいずれかです。
もし破産管財人が契約継続という道を選んだ場合は、本部は拒むことができず、フランチャイジーに対して引き続きサービスを提供しなければいけません。
ただ、代わりの手段として、他のフランチャイジーへの事業譲渡仲介、事業の買取による直営店化などの道も用意されています。
契約解除によって違約金が発生する
フランチャイジーが自己破産して、本部との契約を解除する場合、更新年月を迎えたタイミングにはならないでしょう。
更新年月を迎えた時期の解約では違約金は発生しませんが、それ以外の時期での解約では違約金を支払うのが一般的です。
しかし、自己破産をしているフランチャイジーでは違約金の金額を捻出することも難しいはずです。
そのため、違約金を支払えず、何らかのトラブルになることもあり得ます。
連帯保証人がいる場合
フランチャイジーが本部との契約解除をする際に違約金を支払えないとします。
もしここに連帯保証人がいると、違約金の支払い請求はその連帯保証人の元に行くことがあります。
フランチャイジーオーナーとしては、連帯保証人に大きな迷惑をかけることになるので、非常に心苦しい思いをするでしょう。
破産手続きが始まると、一時的に違約金の支払い義務は免除されるが…
破産手続きが始まると、フランチャイジーオーナーの債務支払い義務は一時的に免除されます。
これには違約金の支払いも含まれます。
しかし、これを持って違約金を支払わなくていいのかは別問題です。
この点については破産管財人の判断に委ねられるのですが、違約金一部免除にしかならない場合もあり、その場合は支払い義務が消えません。
在庫の処理
自己破産したフランチャイジーのお店は基本的にもう運営できませんから、在庫商品が余ってしまいます。
その在庫商品をどう処分するかが大きな課題になります。
処分費用も掛かるでしょうし、方法も考えないといけません。
ここでも厄介な問題が生じます。
競業避止義務・秘密保持義務について
フランチャイジーが自己破産した後の競業避止義務や秘密保持義務がどうなるのかを考えてみましょう。
これはフランチャイジーが法人か個人かで異なることなので、それぞれのケースを紹介します。
法人フランチャイジーの場合
フランチャイズ契約を結んでいたのが法人フランチャイジーで自己破産した場合、その法人は消滅することになります。
これを持って、競業避止義務や秘密保持義務の拘束力も消滅することになります。
つまり、法人フランチャイジーに勤めていた者はオーナーを含めて、その後同業種の商売を始めることもできるし、元本部が提供したノウハウを使ってもいいことになります。
しかし、これは本部にとって喜ばしいことではないので、責任追及する道も用意はされているのですが、実際に立証するのはかなり難しいのが現状です。
では、本部は法人フランチャイジーが自己破産した後、何もできないのでしょうか。
方法はあります。
法人フランチャイジーに所属する代表者などの個人を対象に契約時に競業避止義務や秘密保持義務の取り決めを結んでおけば、その後も効力を発揮することがあります。
個人フランチャイジーの場合
個人フランチャイジーが自己破産した場合、契約時に定められた期間、競業避止義務や秘密保持義務を遵守しなければいけません。
普通は契約時に契約終了後の適用期間も定めるものです。
法人の場合は、自己破産により存在自体が消滅しますが、個人の存在は消しようがありません。
そのため、個人フランチャイジーは契約書のルールに従って、競業避止義務や秘密保持義務を守っていく必要があるのです。
この点を利用すれば、上記のように法人フランチャイジーに対しても競業避止義務や秘密保持義務を科すことはできます。
フランチャイジーが自己破産しないためにできること
最後にフランチャイジーが自己破産しないで済むためにできることを考えておきましょう。
- フランチャイズ加盟前に情報収集を徹底する⇒本部の事業内容や経営状況・これまでに加盟したフランチャイジーの状況・サポート体制・利益率・ロイヤリティなどの費用・市場動向・競合状況など
- 開業資金と運転資金を確保し、余裕のある資金計画を立てる
- 契約内容は隅々まで確認し、弁護士や専門家にも相談してみる
- 日々の資金管理に気を配り、お金の出と入りを正確に把握する
- 売上減少やコスト増大の兆候が見られたら、早い段階で原因を分析し、対処法を講じる
- 資金繰りが悪化した場合は、早めに専門家(弁護士、税理士、経営コンサルタントなど)に相談し、自己破産以外の道を選べるようにする