飲食店開業で最も重要な「物件選び」を徹底解説

こんにちは。今日は飲食店開業における物件選びについて詳しく解説していきます。

飲食店の物件選びが特に難しい理由

飲食店開業を検討している方は本当に多いですね。フランチャイズのポータルサイトでも飲食店関連の案件が圧倒的に多く、実際に開業する方も多いのが現状です。

しかし、飲食店の物件選びは他の業種と比べて格段に難しいことを理解しておく必要があります。美容サロンやフィットネス、ピラティスなどと比較しても、飲食店の物件探しは特に困難なのです。

価格帯によって変わる立地戦略

低単価店(衝動来店型)の場合

まず、価格帯によって求められる立地が大きく異なることを理解しましょう。

低単価の牛丼屋(吉野家、松屋など)を例に考えてみてください。これらの店舗はどこに出店していますか?

  • 駅前や繁華街の人通りが多い場所
  • 路面店
  • 間口が広い立地

このような立地を選ぶ理由は、衝動来店のお客様が多いからです。「ちょうどいいところにある。ここに行こう」といった具合に、通りがかりに立ち寄るお客様がメインターゲットなのです。

高単価店(目的来店型)の場合

一方、1食3万円するような高級寿司店や焼肉店、フランス料理店はどうでしょうか?

  • 路地裏の立地でも問題なし
  • ビルの空中階でも成立
  • 何ヶ月も前から予約して行くようなお店

これらの店舗は目的来店度が高いため、立地の重要性は相対的に下がります。ただし、エリア選定は重要で、港区、新宿、銀座、東京駅周辺など、ターゲット層に合ったエリアでの出店が必要です。

物件選びの前に決めるべきこと

物件探しを始める前に、以下の点を明確にしましょう:

  • 提供する料理・サービスの内容
  • 価格帯設定
  • ターゲット顧客層
  • お客様の来店動機

これらを把握せずに「とりあえず物件探し」を始めるのは間違いです。

成功店舗をベンチマークする方法

類似業態の繁盛店をリサーチ

自分が予定している業態・価格帯・ターゲット層が似ているお店で、実際に繁盛している店舗の立地を参考にしましょう。

現地に足を運んで以下を確認:

  • 客入り状況
  • 立地条件
  • 周辺環境
  • 大手チェーンの出店戦略を参考にする

テイクアウト業態の場合の例:

  • オリジン弁当
  • ほっかほっか弁当
  • 唐揚げ専門店(生き残っている店舗)

これらの大手は綿密な商圏調査を行っています。中には1週間人通りをカウントして売上予測を立てるほど徹底しています。雨の日が多い週は翌週に再調査するという念の入れようです。

飲食店物件が見つからない具体的理由

1. 物件の絶対数が少ない

例えば、1000円程度のラーメン屋を想定してみましょう。必要な条件は:

  • 路面店
  • 10-20坪程度
  • 重飲食可
  • 人通りがそれなりにある

このような条件を満たす物件は、そもそも絶対数が少ないのです。

美容サロンなら10-20坪の空中階の物件でも問題ありませんが、ラーメン屋となると条件が格段に厳しくなります。

2. 重飲食可物件の特殊性

重飲食(ラーメン、焼肉など火を使う業態)には特別な設備が必要:

  • グリストトラップ
  • 特殊な配管
  • 床の仕様

物件オーナーも重飲食での貸し出しを嫌がる傾向があります。物件の消耗が激しいためです。

3. 競合が多い

10-30坪程度の小規模飲食店を始めたい人は非常に多く、さらに大手チェーンも同じような物件を狙っています。限られた物件を多くの事業者が奪い合う状況なのです。

立地の重要度を業態別に考える

立地の重要度ランキング

  • 低単価飲食店(衝動来店型): 80-90%
  • 一般的な飲食店: 70-80%
  • 美容サロン: 50-60%
  • 高級飲食店(目的来店型): 50-60%

低単価の飲食店ほど立地の影響が大きくなります。

立地ミスをした場合の対処法

もし1本奥に入った立地になってしまった場合でも、エリア選定が正しければ挽回可能です:

集客施策の例

  • SNS活用(Instagram、Meta広告)
  • インフルエンサー活用

集客用メニューの開発

  • 映える商品の追加
  • デザート等での差別化

要は「衝動来店型」の店舗に「目的来店」の要素を加えることで、近隣のターゲット層にアピールするのです。

物件探しの現実的なスケジュール

想定期間

  • 美容サロン: 1-2ヶ月程度
  • 飲食店: 半年程度は普通

飲食店の場合、1年の空き待ちも珍しくありません。早期の情報キャッチアップが重要になります。

効果的な物件探しの方法

  • 不動産業者との密な連携
  • 複数の不動産会社との関係構築
  • 街歩きでの直接確認
  • 常時情報収集体制の構築

絶対に避けるべきこと

妥協は絶対にNGです。

「他に物件がない」「予算の関係で」「競合に取られたから」といった理由で妥協して物件を借りると、ほぼ確実に失敗します。

むしろ開業しない選択肢を取る方が賢明です。

代替案:

  • 違うエリアで探し直す
  • 時期をずらす
  • 業態を見直す

まとめ

飲食店の物件選びは確かに困難ですが、適切な物件を見つけることができれば、店舗経営の難易度は大幅に下がります。

成功のポイント:

  • 自分のサービス・価格帯・ターゲットを明確化
  • 類似業態の成功店舗をベンチマーク
  • 妥協せずに時間をかけて探す
  • 複数の不動産業者との関係構築

フランチャイズを検討している方は、本部や直営店、他のFC店舗をしっかりリサーチして、自分のエリアでの成功可能性を十分に検証してから物件探しを始めることをお勧めします。

物件選びは飲食店成功の大きな鍵を握っています。

時間と労力をかけてでも、最適な物件を見つけることが長期的な成功につながるのです。

繁友 健志

繁友 健志

店舗経営のボランタリーチェーン【店舗経営者 倶楽部】(210加盟)のFC本部代表*経済誌「ビジネスチャンス」店舗開発について連載中*店舗不動産屋と痩身サロン「スピード美人」とドライヘッドスパ「癒し〜ぷ」のFC店を経営

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