ボランタリーチェーン(VC)という経営形態をご存じでしょうか。
あまり馴染みのない言葉かもしれません。
そこで今回は、VCの概要・経営形態・メリット・デメリットなどを解説します。
店舗のチェーン展開に関心があるオーナーの皆さん、ぜひ参考にしてください。
ボランタリーチェーン(VC)とは?
早速ボランタリーチェーン(VC)の説明をしましょう。
一般社団法人 日本ボランタリーチェーン協会による定義があります。
引用してみましょう。
独立小売店が同じ目的を持った仲間達と組織化し、チェーンオペレーションを展開している団体をいいます。
チェーン展開というと、フランチャイズチェーンをご存じの方もいるでしょう
少なくともフランチャイズという言葉は聞いたことがある人も多いはずです。
フランチャイズでは本部が加盟店を指導・サポートする経営形態になりますが、VCは少し違います。
VCでは加盟店が主体になり、相互助成関係を築きながら、商売繁盛を目指していきます。
画像引用元:一般社団法人 日本ボランタリーチェーン協会
VC形成のポイント
VCを形成するのは加盟店ですが、形成に当たってのポイントがあるので見ておきましょう。
同じ目的・志を持つ独立事業者が主体的に参画・結合
VCは、同じ目的・志を持つ独立事業者同士が主体的(ボランタリー)に参画・結合して、形成されます。
チェーンオペレーションの構築・活用
VCはチェーンオペレーションを構築・活用しながら活動します。
チェーンオペレーションとは、本店を基軸に支店展開をしていく商売の手法です。
多くの支店に販売機能を委ねながら、本店(本部)が情報を統括し、組織の結合を図りつつ効率的な管理を行い、商売をはかどらせる仕組みといったところでしょうか。
仕入や販売も全支店で統一され、戦略的なプログラム構築をしながら、各店舗の繁栄を目指す、これがチェーンオペレーションの極意でしょう。
地域生活者のニーズに対応
VCでは、それぞれの事業者が様々な工夫をしながら、地域生活者のニーズを吸収し適切な商品やサービスを提供します。
VCの基本理念
VCは地域で事業を行う独立事業者の集合体であり、次のような基本理念の元活動しています。
- 地域生活者・地域社会への貢献⇨地域生活者のニーズ・要望を把握しながら、適切な商品やサービスを提供し、地域に貢献する
- 意欲的な独立事業者の結合⇨意欲的な独立事業者の結合・連携を促進させ、中堅・中小企業の発展に寄与する
- チェーン本部の支援による加盟店の繁栄⇨独立事業者を加盟店としたチェーン組織を形成し、本部は加盟店を支援するための取り組みを行い、繁栄に導く
画像引用元:一般社団法人 日本ボランタリーチェーン協会
ボランタリーチェーン(VC)の本部が果たす役割
フランチャイズ本部の場合、加盟店を指導・サポートする立場です。
では、VCの本部はどのような役割を演じるのでしょうか。
いくつかの項目にまとめてみましょう。
仕入れを本部が集中管理する
VCでは、仕入れを本部が集中管理します。
各加盟店のための商品仕入をまとめて行うということですね。
加盟店が本部に商品の発注を行うと、本部が仕入れをして、加盟店に分配するという仕組みです。
本部による仕入れの集中管理で、効率も良くなるし、商品単価も安くなります。
情報を集約し、加盟店へフィード・バックを行う
VC本部は情報を集約し、加盟店にフィード・バックする役割も演じます。
現在の業界トレンド・消費者動向・現場情報・成功事例などの情報を集めて管理。
得られた情報は整理・分析し、各加盟店の事情に応じた加工もしながら、情報を提供します。
加盟店の業績を把握し、指導をする
VCの場合、フランチャイズほど本部は加盟店の指導には関わらないのですが、全くしないわけではありません。
各加盟店の業績を把握しながら、戦略の方向付けをし、効果的な経営指導を行います。
ボランタリーチェーン(VC)のメリットについて
VCにはどのようなメリットがあるでしょうか。
いくつか挙げてみましょう。
納めるべき代金が少なめ
フランチャイズ加盟には様々なメリットがありますが、オーナーが一番気にするのがロイヤリティなどの代金の高さです。
かなりの金額になることも多いです。
VC加盟でも、加盟料やロイヤリティ(あるいは会費)を支払うのですが、その額はフランチャイズ加盟ほどではありません。
それよりも少額で済むことが多いので、VCの方が加盟しやすいでしょう。
自由に店舗運営しやすい
VCの場合、加盟店はかなり自由な店舗運営ができます。
本部からの指導があるとはいっても、店舗運営の細々したことまで縛ることはありません。
そのため、オーナーの意向を反映した店舗運営もできるでしょう。
情報共有をしやすい
VCでは加盟店同士の横の連携が深く、情報共有も活発に行われます。
店舗経営ノウハウ・利用しているシステム情報・そのときそのときの業界の流行・事例などの情報交換も行われるので、加盟店はその情報を店舗経営に活かせるでしょう。
仕入れコストを抑えられる
「仕入れを本部が集中管理」のコーナーでも説明しましたが、VCでは商品の仕入れを本部が一括して行ってくれます。
これで大量仕入になるので、商品単価が下がりますから、店舗運営コストも抑えられるでしょう。
ボランタリーチェーン(VC)のデメリットについて
VCのメリットを見てみましたが、いかがでしたでしょうか。
メリットだけを見ると、VCに加盟してもいいかなと思うこともあるでしょう。
しかし、デメリットの方も確認しないといけません。
メリット・デメリットの両方を比較した上で、加盟判断をしてください。
十分な経営指導を受けられないかも
VCでも本部から指導はあるのですが、フランチャイズのように懇切丁寧とは行かないでしょう。
基本的な指導にとどまりやすく、経営に関する知識があまりない、店舗運営が初めてであるといったオーナーには心細く感じるかもしれません。
ブランド力が弱いかも
フランチャイズ加盟では本部のブランド力が力を発揮することもよくありますが、VCではそのようなブランド力は期待しにくいです。
VC本部のブランドはそれほど認知されていないケースも多く、加盟店としては自分たちで認知度アップ戦略を練らなければいけないでしょう。
経営は自分で決めなければいけない
VCの場合、店舗経営の自由度は大きいですが、代わりに経営方針を決めるのもオーナー自身です。
フランチャイズのような丁寧な経営指導はありませんから、自分で方針を作っていかなければいけません。
入会金や会費が必要になる
ボランタリチェーンに加盟する代金はフランチャイズほど高くはないのですが、それでも一定額の入会金や会費は支払わないといけません。
組織の統制が取りにくいかも
フランチャイズほど本部が加盟店を指導・サポートする体制になっていないVCでは、組織の統制が取りにくいときがあります。
本部と加盟店は対等な関係であり、各加盟店に比較的経営の自由度があるため、横へ倣えというわけには行かないでしょう。
ボランタリーチェーン(VC)で成功するためのポイント
せっかくVCに加盟するのなら、なんとしてでも成功したいはずです。
そこで成功のためのポイントを解説しましょう。
次のようなポイントがあります。
- 地域のニーズ・顧客の声をくみ取った商品やサービス展開にする
- 自主性を活かしながら、独自の強みを持つ
- 変化する市場や消費動向にフレキシブルに対応する
VCの場合、オーナーにある程度の経営の自由度がありますから、上記のような方策も取りやすいでしょう。
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