フランチャイズに加盟して商売を成功させたい、そう思ってオーナーは契約を結びます。
確かにその期待通りに商売が成功することもあるでしょうが、全てのケースではありません。
フランチャイズに加盟しても、思うような成果が得られず、撤退を考えざるを得なくなることがあります。
その際は、フランチャイズ契約を途中解約しなければいけませんが、果たしてできるのでしょうか。
できるとすれば、どのような注意点があるでしょうか。
今回はこの辺の事情に迫ってみましょう。
フランチャイジーが途中解約を検討する理由
フランチャイジー(フランチャイズ加盟店)オーナーがなぜ途中解約を検討するのでしょうか。
やむを得ない理由があるはずですが、考えられる理由として次のようなことがあります。
- 期待したほどの業績が上がらない
- 赤字続きで、採算がつかない
- オーナーが体調を崩した
- 人材難で店舗運営がはかどらない
一度始めたフランチャイズ店なので、オーナーも途中解約などは考えたくないはずです。
しかし、やむを得ない事情や理由により、途中解約を選択せざるを得ないこともあります。
フランチャイズ契約の途中解約ってできるの?
フランチャイジーオーナーがフランチャイズ契約の途中解約を検討する理由を挙げてみましたが、そもそもフランチャイズ契約の途中解約は可能なのでしょうか。
フランチャイザー側はフランチャイジーが努力して、商売を成功させることを期待しています。
それが途中解約ともなれば、ガッカリすると共に不満でもあるでしょう。
そうなると、途中解約させたくないという気持ちになることがあるかもしれませんが、途中解約のルールについては契約書で定められていることが多いです。
契約書に途中解約のルールが定められている場合は、その内容に則った途中解約が可能です。
では、契約書に途中解約の条項がない場合はどうでしょうか。
この場合は、フランチャイザー側との協議が必要になります。
協議の上、お互いが納得できる条件をとりまとめられれば、フランチャイジーは途中解約ができます。
フランチャイズ契約を途中解約する上での注意点
フランチャイズ契約を途中解約できることはお分かりになったでしょう。
しかし、途中解約はフランチャイザーとしても嬉しいことではありません。
不満が高まる要因にもなるので、様々な条件が付けられる場合も多いです。
そこでそのような条件を含めて、フランチャイズ契約を途中解約する際の注意点をまとめてみましょう。
事前通知期間を守らなければいけない
フランチャイズ契約の契約書に途中解約の条項が記載されていることがありますが、その中には事前通知期間についての説明もあるものです。
途中解約する場合は、前もっていつまでに連絡してくださいという期間です。
通常、3~6ヶ月くらいの時期を定めることが多いですが、フランチャイジーが途中解約をフランチャイザーに申し出る際は、この事前通知期間を守らなければいけません。
違約金が発生することがある
フランチャイズ契約を契約期間満了のタイミングで解約するときは、違約金は発生しません。
「今後契約を更新しません」とフランチャイザー側に伝えるだけです。
しかし、途中解約ともなると、違約金が発生することがあります。
契約書に途中解約と違約金の条項があれば、フランチャイジーはその内容に従って違約金を支払わないといけません。
契約書に途中解約と違約金条項がない場合は、フランチャイザーとフランチャイジーオーナーの協議によって条件が定められます。
違約金については後ほどまた説明します。
競業避止義務が課せられることがある
フランチャイジーがフランチャイズ契約を途中解約した後も、一定期間競業避止義務が課せられることがあります。
競業避止義務とは、フランチャイズ契約を解除した後も、加盟していたフランチャイズと同業の店舗をしばらくは開いてはいけないとする義務です。
もし元フランチャイジーが契約解除後すぐに同業種のお店を始めると、フランチャイザーの持てるノウハウがそのまま流出してしまいます。
そのようなことを避ける必要があるために、フランチャイザー側で元フランチャイジーに競業避止義務を一定期間課すのです。
契約書に競業避止義務の定めがある場合は、途中解約後も一定期間守らないといけません。
保証金について
フランチャイズ契約の保証金は預かり金のような性格のお金で、不動産賃貸契約で言うところの敷金のようなものです。
この保証金、契約解除に伴って返還されるのが普通です。
途中解約でも返還されることがあります。
契約書にそのためのルールなどを定めているフランチャイザーも多いです。
ただし、途中解約時にフランチャイザーに対する債務が残っているときは、その債務分を差し引いて保証金が返金されます。
違約金との相殺で返還するかどうかを決めるフランチャイザーもありますね。
保証金を始め、フランチャイズ契約におけるお金の問題は非常に大切であり、途中解約時にも注意すべきことが多いので、必ず契約時に詳細を確認しておきましょう。
フランチャイズ契約の途中解約で発生する違約金について
フランチャイズ契約を途中解約すると、違約金が発生することがあると説明しました。
フランチャイズ契約を途中解約するオーナーは経済的にも苦しい状況にある場合もあるので、この違約金負担が重く肩にのしかかってきます。
それだけに、違約金に関するルールをしっかり把握しておかないといけないでしょう。
そこで、以下でフランチャイズ契約途中解約の違約金について詳しく解説しますから、ご確認ください。
契約書に記載があれば発生する違約金
フランチャイズ契約を結ぶときの契約書に、「途中解約では違約金を請求します」などの条項があれば、フランチャイジーはそのルールに従わなければいけません。
この場合の違約金を解約一時金などというケースもありますが、途中解約の理由が何であれ、フランチャイジーの支払い義務が生じるのです。
なお、契約書に最低契約期間の明示がない場合は、途中解約しても違約金が発生しない可能性があります。
途中解約の違約金は判例上も認められている
過去にはフランチャイジーが途中解約の違約金について不合理だとして裁判で訴えたケースもありました。
しかし、裁判所の判例では、違約金が原則有効であると認められています。
高額すぎる違約金は無効になるケースも
原則有効になっているフランチャイズ契約の途中解約に関する違約金ですが、あまりにも不当な額である、高額すぎる場合は、裁判所の判決で無効になる場合もあります。
契約前にしっかりチェックを
フランチャイズ契約を結ぶ段階で途中解約のことなど考えたくもないでしょうが、世の中何が起こるかわかりません。
自分が途中解約せざるを得なくなることもあり得ます。
それだけに、フランチャイズ契約を結ぶときは、途中解約と違約金についてしっかりリーガルチェックをしておきましょう。
後でトラブルになるのは避けたいので、事前に詳細を確認しておかないといけないのです。
途中解約を検討するときは、もう一度契約書の確認を
やむなくフランチャイズ契約の途中解約を検討しなければならなくなったときは、もう一度契約書の内容を確認してみましょう。
その上で、実際に途中解約するかどうか決断する必要があります。
ただ、違約金の額はフランチャイジーにとってはとても大きな負担になりやすいです。
赤字続きで途中解約するときなどは、その支払いができないこともあるでしょう。
そのため、フランチャイザー側と交渉してみるのも一つの方法です。
交渉で違約金が免除となることを期待したいですが、そこまで行かなくても減額くらいには応じてくれるフランチャイザーもいるでしょう。
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