フランチャイズに加盟しても、商売がはかどらず、途中で解約したくなる場合があります。
途中解約ともなると、違約金の支払い義務が生じることもありますが、これが結構高額になることもあります。
そうなると、違約金を払えない事態になるかもしれません。
そんなときはどうすればいいでしょうか。
何かいい対処法がないものか、考えてみましょう。
フランチャイズ契約で注意してほしいこと
「フランチャイズの違約金を払えない」問題について考える前に、フランチャイズ契約で注意してほしいポイントをまとめてみましょう。
特に注意していただきたいこと
フランチャイズ契約で特に注意していただきたいことがあるので、確認してください。
契約期間
フランチャイズ契約を結ぶ場合は、契約期間を定めます。
契約期間で多いパターンは3~5年程度です。
ただ、業種による違いもあります。
コンビニや飲食店フランチャイズは規模も大きくなりやすく、契約期間が5~10年くらいと比較的長めに設定されていることがよくあります。
クリーニングやデリバリーサービスフランチャイズは比較的規模が小さめで、投資金額の回収もしやすいことから、契約期間が1~3年程度と短めです。
契約期間は後ほど説明する違約金と関係が深い要素ですから、契約時にしっかりチェックしておきましょう。
初期費用
フランチャイズに加盟して、新規店舗を開業する方が自分でお店を開くよりも初期費用が安くなるといわれています。
しかし、安くなるといっても、かなりの金額を要することは確かです。
そこで、契約時にどのような項目に対してどのような初期費用が掛かるのか確認しておく必要があります。
考えなければいけない初期費用の項目は以下のようなものです。
- フランチャイザー(フランチャイズ本部のこと)に支払う加盟金・保証金・ロイヤリティなど
- フランチャイザーから提供されるシステム利用料
- 物件取得費や改装費
- 開業に向けた準備資金
- 採用人件費や研修費
- 集客のための広告宣伝費など
これらの費用項目について、どこまでがフランチャイジー(フランチャイズ加盟店のこと)の負担になるのか、どこまでをフランチャイザー側が責任を負ってくれるのかなどを確認しておきましょう。
中途解約・違約金
フランチャイズに加盟したフランチャイジーのビジネスが順調に進み、大きな収益を上げられるのなら問題ありません。
しかし、そううまくいくとは限らないです。
大きな期待をしてフランチャイズに加盟しても、集客がはかどらず、あまり儲けられない、あるいは損失を生むこともあり得ます。
そのようなときに中途解約を検討することもあるでしょうが、この点について契約時にしっかり確認しておかないといけません。
最初に契約するときから中途解約について考えるのはいやでしょうが、いざというときのために準備だけはしておく必要があります。
中途解約のルール・条件・違約金の発生有無・違約金が発生するとしたらいくらかなどをフランチャイザー側とフランチャイジー側で詰めておきましょう。
契約書に中途解約や違約金の記載がない場合があります。
そうなると、中途解約できない場合もあるので要注意です。
記載がない場合は、口頭で質問し、どうなっているのか確認しましょう。
その上で契約書に追記してもらえるのが一番いい方法です。
その他の注意点
フランチャイズ契約で特に注意していただきたいことを挙げましたが、その他の注意点についてもカンタンに触れておきましょう。
- ロイヤリティの算出方法・支払い方法・金額
- 加盟金の額とその内訳
- 商標の使用許諾と使用方法
- フランチャイジーに対して指定される営業地域
- 扱う商品の種類や商品の供給量、供給方法
フランチャイズ解約では違約金を払わないといけないの?
フランチャイズを解約するときによく発生するのが違約金の支払い義務ですが、必ず支払うものと決まっているわけではありません。
解約の状況や条件によって違約金を支払う必要があるときと支払わなくてもいいときがあります。
その状況や条件を確認してみましょう。
▶契約期間満了時での解約では発生しない
フランチャイズ契約をするときはフランチャイザーとフランチャイジーの間で契約期間を定めます。
1年、3年、5年、10年といった感じです。
この契約期間が満了を迎えて、それ以上更新したくなくなるときもあるでしょう。
この場合は、契約を解約しても違約金が発生しません。
更新するかどうかはフランチャイジーオーナーが決めることで、フランチャイザーから強制されるものでもないです。
▶重大な過失による契約解除では発生しやすい
フランチャイジーが重大な過失を犯すと、フランチャイザー側で契約解除を求めてくることがあります。
このようなときは違約金が発生しやすいです。
重大な過失とは、次のようなことです。
- フランチャイザーのブランドイメージを大きく損なうような行為をする
- フランチャイザーに大きな損害をもたらす
このような重大な過失に対する責任をフランチャイジーに取らせる意味での違約金となるでしょう。
▶中途解約では発生することが多い
契約期間の満了を迎えずに、フランチャイジー側でフランチャイズ契約を中途解約する場合は、違約金が発生することが多いです。
中途解約の理由としては、「ビジネスが順調に進んでいない」「病気で店舗運営が困難になった」などいろいろあるでしょうが、違約金が発生することがあります。
ただ、災害や病気などの理由で中途解約する場合は、フランチャイザー側が事情を考慮して、違約金を請求しないこともあります。
▶契約終了後の違反行為で発生することも
フランチャイズ契約の違約金というと、契約期間内や解約時に発生するものと思っている方もいるでしょうが、必ずしもそうではありません。
契約終了後に違反行為があったために違約金を求められることがあります。
具体的には次のような行為です。
- 競業禁止義務に違反した
- 商標を侵害した
競業禁止義務とは、フランチャイズ契約終了後の一定期間は元フランチャイジーは元加盟先と同業種や類似する業種の商売をしてはいけないというルールです。
フランチャイズ契約を結ぶときに、この「競業禁止義務」を守るように定められることが多いです。
フランチャイズ契約中はフランチャイザーの商標を自由に使いやすいですが、契約終了後に使うのは違反です。
商標を侵害したとして、違約金を求められることがあります。
フランチャイズの違約金の金額はどれくらい?
フランチャイズ契約に関して発生する違約金ですが、どのくらいの金額になるでしょうか。
あまり高い金額になると、フランチャイジー側の負担も大きくなり、払えないという事態になるかもしれません。
状況を確認してみましょう。
金額の定めはない
フランチャイズ契約の違約金の金額に関して、法律上の定めはありません。
そのため、各フランチャイザーの方針や考え方によって決まります。
通常は違約金の金額についても契約書に記載されています。
そのため、契約時に契約書をよく読んでしっかり確認しておいてください。
高額すぎる違約金の場合は、減額や免除の可能性もある
フランチャイジーにとって大きな負担になりやすい違約金ですが、高額すぎる場合は、減額や免除の可能性もあります。
このことに関しては裁判例もあります。
一部制限となったり無効となったりした例です。
詳しい判例については、次の記事を参照してください。
⇒フランチャイズ契約における違約金の妥当額 | 虎ノ門桜法律事務所
フランチャイズの違約金が払えないときはどうするの?
フランチャイズ契約に関してフランチャイジー側が何らかの問題を起こすと発生することがある違約金ですが、金額によっては払えないこともあるでしょう。
そのようなときはどうすればいいのかを考えてみましょう。
フランチャイザーに相談してみる
法外ではなくても決して安くはないのが違約金です。
フランチャイジーによっては払う余裕がないこともあるでしょう。
そのようなときは、フランチャイザーに一度相談してみましょう。
状況によってはフランチャイザーの方で配慮してくれることもあります。
減額、あるいは免除になることがあるかもしれません。
良心的なフランチャイザーなら、フランチャイジーにも親切に対処してくれるものです。
契約満了まで粘ってみる
フランチャイズの中途解約による違約金は契約満了まで粘ることで支払い義務が消滅します。
あとどのくらい契約期間が残っているかにもよりますが、もう少し持ちこたえて契約満了日まで頑張れそうなら、これが最良の方法でしょう。
無駄な違約金を支払わなくて済みます。
法律事務所に相談する
フランチャイズ契約の違約金が高くて払えない、あるいは不当な請求があるなどの場合は、法律事務所に相談するのも一つの方法です。
フランチャイズ契約に詳しい法律事務所の弁護士に相談すると、契約内容の詳細を分析し、違約金の支払い義務や金額の妥当性などの判断をしてくれます。
その上で、フランチャイザー側との交渉を任せられる場合もあるし、必要に応じて訴訟を起こしてくれることもあります。
その結果、違約金の減額・免除という事態になることもあるでしょう。
弁護士への依頼費用は掛かりますが、違約金の額が高額になれば、依頼費用の方がずっと安くつきます。
では、フランチャイズ契約に詳しい法律事務所をどう探せばいいのかというと、次のような方法があります。
- フランチャイズ協会や商工会議所などの紹介サービスを活用する
- 弁護士会を通して、専門家を探す
- 「フランチャイズ 弁護士」というキーワードで検索をして、ヒットした法律事務所に当たってみる
違約金が払えないと、解約できない場合も
フランチャイズ契約の違約金を払えないと、フランチャイザー側が解約を許してくれない場合があります。
そうなると、商売が不振なのに継続せざるを得なくなることもあるでしょう。
このような事態を避けるためにも、契約時に違約金条項をしっかり確認しておき、自分の支払える範囲内の金額になっていることを見た上で契約しましょう。
フランチャイズの違約金を払わなくていいケース
「フランチャイズの違約金を払えない」というテーマでお送りしていますが、解約時にこの違約金を払わなくていいケースもあります。
どのようなケースか以下で紹介しましょう。
契約書に中途解約の条項がなければ、違約金は発生しない
フランチャイザーとフランチャイジーの間で結ばれる契約書の中途解約や違約金の条項がないことがあります。
この場合は、解約する際は「合意解約」となり、普通違約金は発生しません。
これなら、違約金を払える払えないを考えなくて済むでしょう。
フランチャイザー側に落ち度があった
フランチャイジー側の問題でフランチャイズ解約や契約解除となる場合には違約金が発生することが多いです。
しかし、フランチャイザー側に落ち度があっての契約解除なら、違約金は発生しません。
フランチャイザー側の非に対してまでフランチャイジーが責任を負う必要はないでしょう。
法外な違約金は裁判で認められないケースがある
これはすでに取り上げたことですが、フランチャイズ契約の違約金が高すぎる、法外であるなどの場合は、裁判所が認めないケースもあります。
そのような判例がいくつかあります。
あまりに高い違約金では、オーナーの負担も多くなりすぎる上に公序良俗に違反しているというのが理由です。
解約申し出のルールに則った解約
フランチャイズの契約書の中に、解約申し出のルールが記載されていることがあります。
そのルールに則って解約を申し出る場合も通常解約金が発生しません。
例えば、「ヶ月前までに解約を申し出ること」というルールがあったとすると、その時期に解約の申し出をすれば、違約金を支払わずに済みます。
フランチャイズの違約金が払えないのを防ごう!
フランチャイズ契約における違約金はフランチャイジーの肩に重くのしかかってきます。
場合によっては違約金を払えなくなることもあり、その後の対応で苦慮することもあるでしょう。
そのような事態はできるだけ避けたいところです。
ではどうすれば違約金を払えないという事態を防げるでしょうか。
いい方法を考えてみましょう。
契約書の内容をつぶさに確認すること
後でフランチャイズ契約の違約金が発生して払えないという事態を防ぐためにも、契約時に契約書の内容をつぶさに確認しておきましょう。
そこで、どのようなことを確認すべきかをまとめておきます。
契約期間と事前通知の期間
フランチャイズ契約を結ぶときは、契約期間と解約の事前通知の期間を必ず確認しておきましょう。
契約期間は中途解約にならずに済む期間ですから、解約金の発生と大きく関係してきます。
事前通知期間に関しては、契約満了時の解約でも示す必要があります。
事前通知期間を守らない解約申し出ではルール違反ということで、違約金が発生することがあるので、注意しましょう。
違約金の条件
フランチャイズ契約で違約金が発生する状況については「フランチャイズ解約で違約金を払わないといけないの?」というコーナーで説明しましたが、これは一般論です。
各フランチャイザーによっても、違約金発生の条件は異なっています。
条件については契約書に細かく記載されているはずですから、よく確認しておきましょう。
確認して、できるだけそのような状態にならないように店舗運営をしてください。
違約金の算出方法と金額
フランチャイズ契約の違約金には決められた算出方法や金額はありません。
各フランチャイザーが自由に決められるようになっています。
そのため、ここも要確認事項です。
一律で設定しているところもあれば、契約期間の残日数で定めているところもあるなど、様々です。
それによって金額も大きく変わってくるでしょう。
ここを確認しておくと、後で違約金を支払いやすくなることがあります。
競業禁止義務の有無と期間
フランチャイズ契約後に同業種での開業を禁止するルールが「競業禁止義務」ですが、契約時にこの義務が定められているのか、その期間がどのくらいかを確認しておきましょう。
競業禁止義務違反で違約金が発生するとこがあるからです。
誰しも契約が終了してから違約金などは払いたくないでしょう。
それも高額となれば、損害が大きくなります。
払えないこともあるかもしれないので、競業禁止義務について正確な情報を入手しておく必要があります。
フランチャイザーの選び方も問題
フランチャイズ契約では、フランチャイザーの選び方も大事なポイントでしょう。
フランチャイザーのサポート内容やロイヤリティの金額といったことだけでなく、フランチャイザーによって違約金の条件が異なるからです。
良心的なフランチャイザーなら、たとえ解約となっても法外な違約金は請求しないものです。
フランチャイジーの置かれた状況にも配慮してくださるでしょう。
そんなフランチャイザーを選べば、後で違約金が払えないという事態も避けやすいです。
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